家賃滞納への対策

事例2 駐車場の明け渡し

月極駐車場の未払

不動産業者の方から、所有しているタワー式パーキングの月極駐車場の賃料未払の車両についてのご相談がありました。すでに6か月分の滞納状態で、借主に対して内容証明郵便による支払いの督促を行ったが効果が全くなく、どうしたものかとお困りの様子でした。
滞納期間が長期に渡ることから、駐車場からの車両の明け渡し及び未払賃料等の支払いを求め、受任後直ちに管轄裁判所に提訴。借主は裁判所に姿を見せず、被告欠席のまま原告勝訴の判決が言渡されました。

車を処分して賃料を回収

借主とはその後も全く連絡がつかないため、相談の結果、強制執行手続きに移行することになりましたが、すんなりとはいかないことに気づきました。本来、対象車両を駐車場から運び出すためには明渡の強制執行を行うことになりますが、車両は借主の所有物ですので駐車場から車両を撤去しても、債権者は勝手に廃棄等処分をすることが出来ず、原則として保管しなければなりません。また、借主には自動車以外に目ぼしい財産がなかったため、どのような強制執行手続きを行うか検討をした結果、対象車両が希少価値のあるものであったこと、対象車両の処分が決まれば結果的に駐車場からの明渡も達成でき、上手くいけば未払賃料の回収まで可能と考え、「自動車競売手続」を選択する事にしたのです。

自動車競売は大きく分けて

  1. 自動車競売
  2. 自動車引渡執行
  3. 売却実施
  4. 配当

と4つの段階に分かれます。

まずは、自動車競売の申立てをするために、自動車登録事項等証明書を取得し確認をしたところ、都税事務所による差押が優先順位で入っていることが判明しました。若干の不安はあるものの、税金の滞納があったとしても金額はそんなに大きな金額ではないだろうと考え、そのまま手続きを進めました。

裁判所に申立て

東京地方裁判所に自動車競売の申立てを行うと、数日後に「自動車競売開始決定」が出され、競売手続きが開始されましたが、引渡執行の手続きについては執行官が行いますので、今後は執行官に対して引渡執行の申立てです。

鍵の作成が負担に・・・

数日後、担当執行官が決まったので、引渡執行当日の打ち合わせを行いました。執行の日時や執行官への引渡し方法等を話し合い、さらに、競売を行うため自動車の査定も行う必要があるのですが、査定に際しては当然自動車の内部も見る必要がありますので、鍵を作らなければなりません。これが大きな負担になってしまいました。というのも、現代の日本車であれば通常鍵はひとつで足りますが、今回の対象自動車、実は外国車で、しかも古いものだったのです。

鍵穴ごとに鍵の種類が違うらしく、

  1. イグニッション(エンジン)
  2. ドアキー
  3. ガスキャップキー(ガソリンを入れるところ)
  4. トランクキー
  5. ダッシュボードキー

と全部で5本の鍵を作成しなければならないとのこと。業者へ支払う費用がどんどん嵩み、相談者の顔もだんだん曇ってきてしまいました。なんとしても高額で売却して経費も含め回収をしなければならなくなったのです。

高額の税金の差押が・・・

その後、対象車両の執行官への引渡しが完了し、次は対象車両の価格を決める為に自動車査定協会による査定が入ります。この価格如何では、滞納賃料の回収はおろか、競売自体が成立しない可能性がありますが、ここでまた問題が発生しました。税金の差押が先順位で入っていたのですが、その金額なんと130万円。競売手続きは、配当が出ないと意味がありませんので、ここまででかかった費用30万円を含めると、最低でも160万円の査定がつかなければなりません。自動車査定協会に問い合わせたところ、「いろんな意味で値段がつけられない車」と、なんとも歯切れの悪い回答が返ってきました。

回収できない可能性が・・・

担当者によれば、希少性のある車種であることは間違いないが、保存状態が良くなく、見る人が見れば相当価値がある車といえるし、違う人が見れば、ただのスクラップともいえる車であるとのこと。査定協会の方に祈るようにお願いをしつつ、査定金額が算定され、裁判所から最低売却可能額の決定がなされるのを待っていました。

しばらく経って、裁判所からの通知が届きました。

「最低売却可能額 金96万円」

滞納税金と執行費用の合計約160万円を下回る金額が算出されてしまい、競売をしても申立人に対して配当がない「無剰余」となるため、先順位の都税事務所が競売の継続に対して合意するか、160万円以上で購入を申し出る買受人を用意するかしなければ、裁判所によって競売手続きの取消されてしまいます。都税事務所になんとかお願いして同意を得、競売を続けることができるようになりましたが、最大の問題が待ち構えていました。

最悪の場合、依頼者が買う事を覚悟も

当然のことですが、買主が見つからなければ、車両はそのまま駐車場に残り、費用だけかかって何の成果もない状態に陥ります。依頼者と協力して中古車取扱店に片っ端に連絡を取りましたが、あまりにも希少な車種である為、どの業者も消極的な回答でした。結局、依頼者の知人がとりあえず売却期日に車を見に行きたいと言ってくれただけで、他に成果はなく、最悪の場合は、依頼者が最低売却可能額で買うことも覚悟しました。

そして迎えた売却期日。

指定の時間に、売却を実行する執行官及び裁判所職員が到着しましたが、依頼者の姿が見えません。時間から遅れること15分、青ざめた表情で依頼者が現地に到着し、事情を尋ねると、唯一の頼みの綱であった依頼者の知人が、都合により現地に来れないとのことで、依頼者が買い取るという最悪の事態を受け入れざるを得ない状態です。

「申立債権者も揃ったので競売を始めましょうか・・。買受人候補者はどなたかいらっしゃいます?」死刑宣告にも似た執行官からの言葉が発せられました。

そのとき、裁判所職員の後ろの方から、ひょっこり男性の方が歩いてきました。
「あの〜、アストンマーティンの競売はこちらでやってますか?」
裁判所職員を含めその場に居た方々が一斉に振り向き、その男性を見つめました。
「少し時間に遅れてしまったんですけど、もう。終わっちゃいました?」
少し気弱そうなその男性は、申し訳なさそうに言いました。

その男性は今回の競売の唯一の参加者として、執行官に買受を申し入れ、保証金(手付金のようなもの)を納め、競売が成立しました。執行官から残額を納める代金納付期日の連絡があり、その日までに残額の入金が確認できれば、対象車輌の所有権が移り、買受け人によって駐車場の明け渡しが完了する事になります。

結局は執行費用の清算だけに・・・

程なくして、裁判所から、買受を申し出た方への売却許可決定がなされ、買受人から代金の残額納付も確認、買受人が手配したレッカー車で牽引されて、駐車場の明け渡しが完了しました。
後日裁判所から今回の買得金の配当についての連絡がありましたが、優先債権である租税債権の額が、買得金の額を上回っていましたので、かかった執行費用の清算以外は、配当を得ることは出来ませんでした。

その後も債務者とは連絡がまったく取れず、その他、債務者には目ぼしい財産が無いようでしたので、未払賃料の回収については回収不能という事で、手続きを終えました。  

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